デブネコ独断偏見ポイント:
2 P
プラス
マイナス
- Macでは全く役に立たないRAID設定
- 不安定な動作
- 短い寿命
一番最初に買った2.5インチSATAディスク用重列横置きRAIDケースです。Addonicsのブランドで売っていますが、実体は
SunnytekのST-2220 SUESRです。Macではまともなサポートは400GBまで(200GB x 2)。ファームウェアをアップデートすると計2TBまでいけるはずなのですが、アップデートしてもまともに動きませんでした。サポートする厚みは9.5ミリのみです。eSATAだけではなくUSBを使っても一つのポートからの電力では供給量が足らず、USBポートをもう一つ使うか要外部電源です。USBはミニB端子使用。電源on/offのスイッチ付き。DC INあり。インジケータあり。ディスクの出し入れは比較的簡単で、ディスク交換作業の効率という面では高い得点をあげられますが、そもそもディスクは頻繁に交換するものじゃありませんからねえ。ブラックアルミの手触りはサラサラしていて上。RAIDとeSATAを試してみたくて買いましたが、設定するのは簡単ではありません。付属ソフトはMacではまともに動きません。従ってディスクユーティリティを使うハメになるのですが、USBポートを使う時は設定が限られ、ディスクも200GBより大きいとJBOD (single)で二つのディスクとして使わざるを得ない等使用できる範囲が限られます。eSATAポートを使うと250GB以上のディスクを使用できますが、ケース側だけでは設定できない部分があり、USBポート使用時に問題がなかったGUIDパーティション方式が機能せずマスター・ブート・レコードを使用せざるをえないなどの問題があります。ただしこれらは設定時に発生する問題で、一度設定が成功したものはUSBでもeSATAでもどちらでも使えます。値段(送料抜きでほぼ100ユーロ)を考えると少なくともeSATAを使えないMacBookノンプロの所有者には絶対におススメはできません。MacBook Proの所有者の方にしてもFirewire800を使う時に比べてメリットはないと言えます。Addonicsのサポートいい加減だし、ケースの寿命は短いし(バルク品と合わせて2つ買いましたがすでにどちらも逝きました)、付属ソフトも含めてこれほどひどいブツだと知っていたら価格の半額でも買わなかったでしょう
Addonicsはいつも大々的に発表するから、本当はうちで作ってないから知らないんですとは間違っても言えないのでしょうねえ。
シングルドライブ
USB 2.0 & Firewire 800 & eSATA
デブネコ独断偏見ポイント:
7 P ミサのおススメ
プラス
- 爆速eSATA
- 豊富なポート類
- スタイル
- 質感
- 強固な造り
- 12.5ミリ厚のドライブのサポート
マイナス
大きさ、重量、ポートの種類と全てにわたってヘビー級のシングルディスクケースで、
OWC Mercury Elite-AL Pro Dual miniの弟分です。12.5ミリ厚のディスクも入ります。OWCでは14ミリ厚のシーゲートの1.5テラバイトのディスクを入れて売っていますので、14ミリまではいけるでしょう。ポートはeSATA x 1、FireWire 800 x 2、USB 2.0 x 1で、所有しているシングルディスクケースの中では最も多彩です。USBはミニB端子使用。DC INあり。電源on/offのスイッチあり。インジケータあり。USBでもバスパワーで動きます。ライバルとも言える秋葉館 Macbeth Mini800と同じOxford Semiconductor製 OXUF 934DSBチップを採用していますが、Firewireポート使用での転送速度ではMacbeth Mini800に遠く及びません。eSATAポートはそれを補って余りありますが、Appleのノートブックでは全ての機種でeSATAが使えるわけではないので評価は微妙です。手触りは上、アルミボディはガッチリしていて、重量といい大きさといいアメリカンな感じがします。重さから言って持ち歩くよりは据え置きにしてアルミのスタイルを楽しんだ方がいいのは兄貴分といっしょです。価格は高めで、コストパフォーマンスはどの程度Firewireを使うかによって変わってきます。eSATAとUSBしか使わないのでしたら、もっと安いケースを買った方が良いでしょう。ただeSATAポート付きのシングルディスクケースで12.5ミリ厚ディスクが使えるのは大きなプラスです。見栄えのするスーパーカーみたいなケースを求める方におススメできます。
HDD内蔵ドライブによる検証
AJA System Testによる
幻想世界の参考転送速度(他のケースとの比較はこちらをご覧ください。)
使用ポート |
内蔵 |
外付け |
OS |
ドライブ数 |
RAID設定 |
AJA System Test |
Write |
Read |
Firewire 800 |
HDD |
HDD |
OS X Snow Leopard 10.6 |
1 |
- |
57.3 MiB/s |
77.7 MiB/s |
eSATA |
Windows 7 Home Premium SP1 |
105.7 MiB/s |
108.0 MiB/s |
OS X Lion 10.7 |
112.1 MiB/s |
113.2 MiB/s |
ファイルコピーによる現実世界の参考転送速度(他のケースとの比較はこちらをご覧ください。)
使用ポート |
内蔵 |
外付け |
OS |
ドライブ数 |
RAID設定 |
File copy |
Int → Ext |
Ext → Int |
Firewire 800 |
HDD |
HDD |
OS X Lion 10.7 |
1 |
- |
55.0 MiB/s |
74.0 MiB/s |
eSATA |
Windows 7 Home Premium SP1 |
106.7 MiB/s |
107.8 MiB/s |
OS X Lion 10.7 |
106.7 MiB/s |
107.8 MiB/s |
SSD内蔵ドライブによる検証
AJA System Testによる
幻想世界の参考転送速度(他のケースとの比較はこちらをご覧ください)
使用ポート |
内蔵 |
外付け |
OS |
ドライブ数 |
RAID設定 |
AJA System Test |
Write |
Read |
eSATA |
SSD |
HDD(新) |
Windows 8 Pro |
1 |
- |
126.6 MiB/s |
130.1 MiB/s |
SSD |
Windows 7 Home Premium SP1 |
144.2 MiB/s |
148.4 MiB/s |
ファイルコピーによる現実世界の参考転送速度(他のケースとの比較はこちらをご覧ください。
使用ポート |
内蔵 |
外付け |
OS |
ドライブ数 |
RAID設定 |
File copy |
Int → Ext |
Ext → Int |
eSATA |
SSD |
HDD(新) |
Windows 8 Pro |
1 |
- |
128.0 MiB/s |
128.0 MiB/s |
Ubuntu 12.10 |
126.4 MiB/s |
120.5 MiB/s |
SSD |
Windows 7 Home Premium SP1 |
152.8 MiB/s |
148.4 MiB/s |
Ubuntu 12.04.1 LTS |
213.3 MiB/s |
142.2 MiB/s |
USB 2.0 & eSATAp
デブネコ独断偏見ポイント:4 P
プラス
- コストパフォーマンス
- 質感
- 充実のパッケージ
- 高速eSATA
マイナス
Power Over eSATAを試してみたくて買いました。外観はなかなか質感があり手触りも良です。基板はしっかりしていて、ハードディスクの取り付けにネジ4本、フタ部分の取り付けにネジ2本使います。インジケータとDC INあり。USBはミニB端子使用。USBを使用時は一つのポートからの電力供給で動きます。eSATAとeSATApのポートは共用です。肝心のPower Over eSATAはMacではUSB 2.0として認識されてしまって使えません。と書いてしまったのですが、最新のexpresscardドライバーをインストールしたら通常のeSATAドライブみたくSCSIドライブとして認識されてしっかりバスパワーで動きました。普通のeSATAケーブルと外部電源を使えばただのeSATAケースとしても使えます。今の時代にしてはパッケージがなかなかこっていて、フタ部分がマグネットでピタッと閉まる形式です。ケーブル類はUSBとeSATApが付いてきます。eSATApという新しいポートを使用した内容の割に手頃な価格でおススメできます。と書いたのですが、SSDを入れて検証したら、SSDの速さを全く活かせないということが判明したので、大幅減点の4ポイント。
HDD内蔵ドライブによる検証
AJA System Testによる
幻想世界の参考転送速度(他のケースとの比較はこちらをご覧ください。)
使用ポート |
内蔵 |
外付け |
OS |
ドライブ数 |
RAID設定 |
AJA System Test |
Write |
Read |
eSATA |
HDD |
HDD |
Windows 7 Home Premium SP1 |
1 |
- |
108.6 MiB/s |
109.2 MiB/s |
OS X Lion 10.7 |
106.0 MiB/s |
105.6 MiB/s |
ファイルコピーによる現実世界の参考転送速度(他のケースとの比較はこちらをご覧ください。)
使用ポート |
内蔵 |
外付け |
OS |
ドライブ数 |
RAID設定 |
File copy |
Int → Ext |
Ext → Int |
eSATA |
HDD |
HDD |
Windows 7 Home Premium SP1 |
1 |
- |
103.4 MiB/s |
103.4 MiB/s |
OS X Lion 10.7 |
105.6 MiB/s |
104.5 MiB/s |
SSD内蔵ドライブによる検証
AJA System Testによる
幻想世界の参考転送速度(他のケースとの比較はこちらをご覧ください)
使用ポート |
内蔵 |
外付け |
OS |
ドライブ数 |
RAID設定 |
AJA System Test |
Write |
Read |
eSATA |
SSD |
HDD(新) |
Windows 8 Pro |
1 |
- |
109.9 MiB/s |
121.2 MiB/s |
SSD |
Windows 7 Home Premium SP1 |
110.8 MiB/s |
121.8 MiB/s |
ファイルコピーによる現実世界の参考転送速度(他のケースとの比較はこちらをご覧ください。
使用ポート |
内蔵 |
外付け |
OS |
ドライブ数 |
RAID設定 |
File copy |
Int → Ext |
Ext → Int |
eSATA |
SSD |
HDD(新) |
Windows 8 Pro |
1 |
- |
110.1 MiB/s |
107.8 MiB/s |
Ubuntu 12.10 |
116.4 MiB/s |
101.4 MiB/s |
SSD |
Windows 7 Home Premium SP1 |
110.1 MiB/s |
110.1 MiB/s |
Ubuntu 12.04.1 LTS |
121.9 MiB/s |
110.1 MiB/s |
USB 2.0 & eSATA
デブネコ独断偏見ポイント:5 P
プラス
マイナス
eSATAへの移行を考えて買い足しました。外観も手触りも良です。細部のつくりがほんの少しだけ粗め。基板はまあまあしっかりしています。DC INあり。インジケータあり。USBはミニB端子使用。USBを使用時は一つのポートからの電力供給で動きます。どこにでもありそうなケースですが、eSATAは高速で値段も手頃ですしおススメできます。
HDD内蔵ドライブによる検証
AJA System Testによる
幻想世界の参考転送速度(他のケースとの比較はこちらをご覧ください。)
使用ポート |
内蔵 |
外付け |
OS |
ドライブ数 |
RAID設定 |
AJA System Test |
Write |
Read |
eSATA |
HDD |
HDD |
Windows 7 Home Premium SP1 |
1 |
- |
109.1 MiB/s |
107.6 MiB/s |
OS X Lion 10.7 |
106.8 MiB/s |
109.2 MiB/s |
ファイルコピーによる現実世界の参考転送速度(他のケースとの比較はこちらをご覧ください。)
使用ポート |
内蔵 |
外付け |
OS |
ドライブ数 |
RAID設定 |
File copy |
Int → Ext |
Ext → Int |
eSATA |
HDD |
HDD |
Windows 7 Home Premium SP1 |
1 |
- |
106.7 MiB/s |
106.7 MiB/s |
OS X Lion 10.7 |
106.7 MiB/s |
106.7 MiB/s |
SSD内蔵ドライブによる検証
AJA System Testによる
幻想世界の参考転送速度(他のケースとの比較はこちらをご覧ください)
使用ポート |
内蔵 |
外付け |
OS |
ドライブ数 |
RAID設定 |
AJA System Test |
Write |
Read |
eSATA |
SSD |
HDD(新) |
Windows 8 Pro |
1 |
- |
125.1 MiB/s |
130.1 MiB/s |
SSD |
Windows 7 Home Premium SP1 |
233.1 MiB/s |
248.6 MiB/s |
ファイルコピーによる現実世界の参考転送速度(他のケースとの比較はこちらをご覧ください。
使用ポート |
内蔵 |
外付け |
OS |
ドライブ数 |
RAID設定 |
File copy |
Int → Ext |
Ext → Int |
eSATA |
SSD |
HDD(新) |
Windows 8 Pro |
1 |
- |
128.0 MiB/s |
128.0 MiB/s |
Ubuntu 12.10 |
121.9 MiB/s |
120.5 MiB/s |
SSD |
Windows 7 Home Premium SP1 |
173.6 MiB/s |
162.5 MiB/s |
Ubuntu 12.04.1 LTS |
222.6 MiB/s |
167.9 MiB/s |
外付けケースを買う時の留意点
(1)ポートの種類と転送速度
宣伝文句で使われている理論上の転送速度とポートの関係は遅い順に下記のようになります。(ビット、バイト)
Firewire 400(400 Mb/s、50 MB/s)
USB 2.0(480 Mb/s、60 MB/s)
Firewire 800(800 Mb/s、100 MB/s)
eSATA 3G(3 Gb/s、375 MB/s)
USB 3.0(5 Gb/s、 625 MB/s)
eSATA 6G(6 Gb/s、750 MB/s)
Thunderlbolt (10 Gb/s、1250 MB/s)
USB 3.1(10 Gb/s、1250 MB/s)註1
Thunderlbolt 2(20 Gb/s、2500 MB/s)
上記の数値は実際には全く縁のない速度です。上記のポート類はUSB 3.1とThunderboltを除いてどれも8b/10b符号化、Thunderboltは64b/66b符号化、USB 3.1は128b/132bというシリアル転送方式を採っているので、下記の数値辺りが実際に出せるはずの実効速度ということになります。
Firewire 400(400 Mb/s × 8 ÷ 10 ÷ 8 = 40 MB/s)
USB 2.0(480Mb/s × 8 ÷ 10 ÷ 8 = 48 MB/s)
Firewire 800(800Mb/s × 8 ÷ 10 ÷ 8 = 80 MB/s)
eSATA 3G(3Gb/s × 8 ÷ 10 ÷ 8 = 300 MB/s)
USB 3.0(5Gb/s × 8 ÷ 10 ÷ 8 = 500 MB/s)
eSATA 6G(6Gb/s × 8 ÷ 10 ÷ 8 = 600 MB/s)
Thunderlbolt (10Gb/s × 64 ÷ 66 ÷ 8 = 1212 MB/s)
USB 3.1 (10Gb/s × 128 ÷ 132 ÷ 8 = 1212 MB/s)註1
Thunderlbolt 2 (20Gb/s × 64 ÷ 66 ÷ 8 = 2424 MB/s)
と、ここまでは完全にポートのみで計算上の話をしています。実際の速度にはチップの性能、ドライブの接続部の性能、ドライブの性能、システムのドライバーの性能等様々な要素が絡んできます。例えば今現在で言えば内部接続がSATA 3.0(6G)対応なのかどうかはかなり重要です。SSD等を外付けケースに入れた場合それだけで300 MB/s以上出せるかどうかが決まってしまいます。またUSB 3.0などはUASPモードをサポートしているのか等によって数十メガバイトから数百メガバイト毎秒の違いが転送速度に出ます。チップの性能はFirewire 800で顕著ですが、チップによって転送速度に大きな差が出ますし、またチップが同じでもケースによって転送速度がかなり違う場合もあります。買う前に必ず検索で買う予定のケースのレビューなどを見てみましょう。同じFirewire 800でも20 MB/sもの差が出ると投資に対する見返りがかなり違いますからね。
ポートの転送速度が速くても、RAIDなど特殊な方法を使わないとその速度をだせないこともあります。例えばThunderboltは上記のポートの中で最も速いですが、現在は内部接続の主流のインターフェースであるSATA註2が最新マシンでも6 Gb/sですので、それ以上はRAIDを使うとか、内部接続がPCIeの高いドライブを買うとか、あとはドライブに保存しないデータだけのやり取りみたいなことをしないと転送速度を活用できません。逆に言うとThunderboltはRAID等を使えば内部接続のインターフェースがSATAの6 Gb/sであってもそれを上回る転送速度が出せますが、eSATAではSATAの上限の6 Gb/sを上回る転送速度は絶対に出ません。こうしてもの凄い転送速度が出せるThunderboltですが、一方では実際に普及クラスのSSDをシングルドライブで使って検証してみるとUASPモードをサポートしているUSB 3.0より遅かったりします。これは内部接続であるSATA 3.0と外部接続のThunderboltの変換がUSB 3.0とSATA 3.0の変換ほど効率的ではないからだと言えます。
註1)2013年11月現在でこの規格を使った製品はまだ発売されていません。
註2)AppleはMid 2013年型のMacBook AirでPCIe接続の内蔵ドライブを採用しました。これにより内蔵ドライブの転送速度は700 MB/s以上になりましたが、それでもThunderboltの限界まで使い切ってはいません。
(2)内蔵ドライブと外付けドライブの関係
速い転送速度は内蔵ドライブと外付けドライブの両方が速くないと実現しません。内蔵ドライブと外付けドライブの関係を7200rpmのHDDと5400rpmのHDDの例で速い順にすると次のような感じになります。
1.内蔵7200rpm + 外付け7200rpm
2.内蔵7200rpm + 外付け5400rpm
3.内蔵5400rpm + 外付け7200rpm
4.内蔵5400rpm + 外付け5400rpm
3と4の差は微々たるもので、実際にはほとんど体感できないです。ところが2と3では体感できるほど速度に差が出ます。簡単に言うと内蔵ドライブが遅い場合、外付けケースに速いディスクを入れても折角の投資しに対する見返りがない転送速度しか得られません。ですから外付けドライブの性能向上の前にまずはマシンの内蔵ドライブの性能向上を考えましょう。上記はHDDの場合ですが、SSDでも同じです。
(3)ポートとドライブの関係
(1)や(2)と少し重複しますが、ドライブの性能がポートの実効速度を上回っている場合、性能が活かしきれず転送速度の頭打ちが生じます。例えば現在は500GB以上の容量の7200rpmのディスクは2.5インチでも110 MiB/s以上の転送速度を出す実力がありますが、こういうディスクをFirewire 800ケースに入れても、20 MiB/s以上の無駄が生じますし、SSDなどを入れたらそれこそ宝の持ち腐れです。こちらのページのファイルコピー速度ベスト10を参照していただくとわかりますが、同じSSDを使ってもUSB 3.0接続ののRAIDケースとThunderbolt接続のJBODケースでは転送速度に200〜300 MB/s以上の差があります。USB 3.0接続ののRAIDケースはこの差の分の速度を活用できていないことになります。外付けケース選びは転送速度だけが重要ではないですが、使用目的で転送速度が重要な場合、外付けケースやマシンのポートがドライブの性能を活かせることができるのかをチェックした方が良いでしょう。ただ100パーセントの理論値を出せるケースなどありませんので、ここでもレビューなどを見てどのケースの転送速度が速いのかなど情報集めすることが重要です。
逆にポートの実効速度がドライブの性能を上回っている場合、速いドライブを入れればそれなりの見返りがあるはずです。ここで気をつけたいのは手頃な価格で容量を確保するために普及するであろうeSATA・USB 3.0・Thunderbolt等の速いポートのついたケースと大容量シングルHDDの組み合わせです。自分で安いケースを買って手持ちのHDDを有効活用するというのなら良いですが、速いポートのついた外付けケースに大容量のシングルHDDを最初から入れて外付けドライブとして売っている場合、ポートごとの転送速度などはただの謳い文句です。良心的なメーカーだと実際に出る転送速度を併記してくれるでしょうが、そうでない場合はコンピューター初心者などが知らないで買うと、「速いドライブということで買ったはずなのに騙された」という気がするでしょう。
(4)ポートと利便性
USBは気軽に使えるし安いし便利ですが、USBポートしかないケースをいくつも持っていてこれらを同時に使いたい場合はそれほど便利ではありません。デスクトップマシンみたいにUSBポートがいくつもあればそれらに接続するだけの話ですが、ノートブックみたいにポート数が少ないと、ハブなどを使って接続するしかありません。所有しているドライブが多いとこれがけっこう不便です。簡単に取り外したりしないeSATAでも状況は同じです。FirewireやThunderboltではマシンにポートが一つしかなくても、ケース側にポートが二つ以上あればデイジーチェーンでケース同士や他の周辺機器を繋いでいくことができます。これまでの外付けケースを使ったこのブログの検証ではFirewire 800はテラバイトの2.5インチの外付けドライブ二つ、もしくはテラバイトの2.5インチディスクが2つ入ったRAIDケースまではバスパワーだけでも問題なく使えます。で、ここで気をつけたいのがFirewireやThunderboltポートを一つしか搭載していない外付けケースです。自分で納得して買うなら良いですが、そうでないと折角FirewireやThunderboltポート付きのケースを買ったのに、デイジーチェーンが使えなくてUSBやeSATAケースと利便性が変わらないということになってしまいます。さらにFirewireの場合で気をつけたいのは、2つポートがあっても規格が同じでないと、デイジーチェーンを使った時に転送速度は遅い規格のポートに準じます。たまにFirewire 400ポートと800ポートが一つずつ搭載されたケースを見かけますが、マシンにFirewire 400ポートしかない場合を除いてはおすすめしません。
ボード直付けのeSATAポート搭載のWindowsマシンでのeSATAの速度は目を見張るものがありますが、2.5インチ外付けドライブの利便性と言う観点で考えると、OS起動中には取り外しができないなどの制限があってあまり便利ではありません。Windowsは内蔵のSATAもしくはeSATAポート接続の外付けドライブにしかインストールできないですし、おそらくMicrosoftの考え方としては、eSATAは名前の通り狭い筐体ないに入りきらないドライブのためのSATAの拡張という感じなのだと思います。簡単に言うと筐体外にはみ出した内蔵ドライブという感じですかね。ということで、簡単に外付けドライブの取り外しができる高速ポートはUSB 3.0もしくはExpressCard経由で使うeSATAに限られ、どちらの場合も転送速度がかなり低くなってしまいます。外付けケースを買う時にこの辺の状況と自分の使い方を良く考えて買わないと、後から別の外付けケースを買い足すハメになったりするかもしれません。
(5)外付けケースのスペックとサポートする環境
ここまでは外付けケースを買う時に一番目に付き易い点を見てきましたが、前述しましたようにポートだけ速いのが付いていても必ずしも外付けケースの性能が良いとは限りません。ケースのスペックで留意したいのは内部接続のSATAの規格です。通常の1.0、2.0、3.0の他にローマ数字のI, II, IIIや3G、6G等と呼び名が入り乱れていますが、できるだけ新しい規格のものが好ましいです。ポートとドライブが速くても、古い規格の内部接続だとそこがボトルネックになってしまうからです。これはSSDを外付けケースに入れて使う時にかなり重要な点になります。
外付けケースがバスパワー駆動可能かどうかも重要でしょう。今は殆ど見かけなくなりましたが、以前は一つのUSB 2.0ポートからの給電では動かない外付けケースもありました。またバスパワーで動きそうな外観なのに実際は外部電源が必要なThunderbolt接続ケースなどがあります。こういうのを買ってしまうとノートブックと一緒に気軽に持ち歩くということができなくなってしまいます。
もう一つ気を付けたいのはケースがサポートするOSです。PCでもMacでもUSB 3.0が主流になりつつあるこの時代でも中にはWindowsしかサポートしていないというケースもあります。自分のMacにはUSB 3.0ポートがあるから大丈夫だろうと思って買うと動かなかったということになりかねません(経験者談)。ケースがサポートする環境は大概明記されていますので、必ず見るようにしましょう。サポートされている環境なのに動かないという場合はファームウェアの問題が考えられます。メーカーもしくは販売店のサポートに問い合わせてみましょう。
(6)外付けケースの安定動作・静粛性など
買い物になるとついスペックばかりに目が行ってしまい、実際にどのように動作するのかとかは未確認になってしまい勝ちですが、安定動作しない外付けケースほど役に立たないものはありません。また買ってしまったもののうるさくて使ってられないということなどもありうるでしょう。ただこればかりは実際に使ってみないとわかりません。そこで重要になってくるのがネットにあるユーザーのレビューなどです。外付けケースに限ったことではないですが、ネットでの情報収集は今のこの時代原則です。
上記のことを簡単にまとめてチェック表を作ってみました。買う前にこれだけはチェックしておきましょう。知っていて買うのと知らないで買うのとでは全然違いますから。
外付けケースチェック事項(2012年11月現在)
|
内部接続
|
SATA 3.0 (6G、III)対応かどうか?
|
eSATA
|
eSATAがSATA 3.0 (6G、III)対応かどうか?
|
USB 3.0
|
UAS(もしくはUASPモード)対応かどうか?
|
Thunderbolt、Firewire
|
ポートが二つあるかどうか?二つあったらポートはピン数など同じ規格か?
|
Thunderbolt
|
ケーブルは付いてくるのか?
|
バスパワー駆動
|
バスパワー駆動対応と表示されているかどうか?
|
OS
|
自分のマシンで使っているOSがサポートされているかどうか?
|
RAID
|
ソフトなのかRAIDコントローラーが付いているのか?
|
ユーザーの評価
|
ネット検索で見つかるユーザーはどのような評価をしているのか?
|
最近のコメント