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2013年8月12日 (月)

2.5インチドライブ用外付けケースを買う時の留意点



 

今までに何度か書いていますが、ケースのまとめページにリンクするためにもう一度経験で得た留意点をまとめてみました。これから購入を考えている方には参考になるかもしれません。HDDを使ったときの場合をベースに書いていますが、ほとんどはSSDでも当てはまります。内容は続きをどうぞ。

(1)ポートの種類と転送速度

宣伝文句で使われている理論上の転送速度とポートの関係は遅い順に下記のようになります。(ビット、バイト)

Firewire 400(400 Mb/s、50 MB/s)
USB 2.0(480 Mb/s、60 MB/s)
Firewire 800(800 Mb/s、100 MB/s)
eSATA 3G(3 Gb/s、375 MB/s)
USB 3.0(5 Gb/s、 625 MB/s)
eSATA 6G(6 Gb/s、750 MB/s)
Thunderlbolt (10 Gb/s、1250 MB/s)
USB 3.1(10 Gb/s、1250 MB/s)註1
Thunderlbolt 2(20 Gb/s、2500 MB/s)

上記の数値は実際には全く縁のない速度です。上記のポート類はUSB 3.1とThunderboltを除いてどれも8b/10b符号化、Thunderboltは64b/66b符号化、USB 3.1は128b/132bというシリアル転送方式を採っているので、下記の数値辺りが実際に出せるはずの実効速度ということになります。

Firewire 400(400 Mb/s × 8 ÷ 10 ÷ 8 = 40 MB/s)
USB 2.0(480Mb/s × 8 ÷ 10 ÷ 8 = 48 MB/s)
Firewire 800(800Mb/s × 8 ÷ 10 ÷ 8 = 80 MB/s)
eSATA 3G(3Gb/s × 8 ÷ 10 ÷ 8 = 300 MB/s)
USB 3.0(5Gb/s × 8 ÷ 10 ÷ 8 = 500 MB/s)
eSATA 6G(6Gb/s × 8 ÷ 10 ÷ 8 = 600 MB/s)
Thunderlbolt (10Gb/s × 64 ÷ 66 ÷ 8 = 1212 MB/s)
USB 3.1 (10Gb/s × 128 ÷ 132 ÷ 8 = 1212 MB/s)註1
Thunderlbolt 2 (20Gb/s × 64 ÷ 66 ÷ 8 = 2424 MB/s)

と、ここまでは完全にポートのみで計算上の話をしています。実際の速度にはチップの性能、ドライブの接続部の性能、ドライブの性能、システムのドライバーの性能等様々な要素が絡んできます。例えば今現在で言えば内部接続がSATA 3.0(6G)対応なのかどうかはかなり重要です。SSD等を外付けケースに入れた場合それだけで300 MB/s以上出せるかどうかが決まってしまいます。またUSB 3.0などはUASPモードをサポートしているのか等によって数十メガバイトから数百メガバイト毎秒の違いが転送速度に出ます。チップの性能はFirewire 800で顕著ですが、チップによって転送速度に大きな差が出ますし、またチップが同じでもケースによって転送速度がかなり違う場合もあります。買う前に必ず検索で買う予定のケースのレビューなどを見てみましょう。同じFirewire 800でも20 MB/sもの差が出ると投資に対する見返りがかなり違いますからね。

ポートの転送速度が速くても、RAIDなど特殊な方法を使わないとその速度をだせないこともあります。例えばThunderboltは上記のポートの中で最も速いですが、現在は内部接続の主流のインターフェースであるSATA註2が最新マシンでも6 Gb/sですので、それ以上はRAIDを使うとか、内部接続がPCIeの高いドライブを買うとか、あとはドライブに保存しないデータだけのやり取りみたいなことをしないと転送速度を活用できません。逆に言うとThunderboltはRAID等を使えば内部接続のインターフェースがSATAの6 Gb/sであってもそれを上回る転送速度が出せますが、eSATAではSATAの上限の6 Gb/sを上回る転送速度は絶対に出ません。こうしてもの凄い転送速度が出せるThunderboltですが、一方では実際に普及クラスのSSDをシングルドライブで使って検証してみるとUASPモードをサポートしているUSB 3.0より遅かったりします。これは内部接続であるSATA 3.0と外部接続のThunderboltの変換がUSB 3.0とSATA 3.0の変換ほど効率的ではないからだと言えます。

註1)2013年11月現在でこの規格を使った製品はまだ発売されていません。

註2)AppleはMid 2013年型のMacBook AirでPCIe接続の内蔵ドライブを採用しました。これにより内蔵ドライブの転送速度は700 MB/s以上になりましたが、それでもThunderboltの限界まで使い切ってはいません。



(2)内蔵ドライブと外付けドライブの関係

速い転送速度は内蔵ドライブと外付けドライブの両方が速くないと実現しません。内蔵ドライブと外付けドライブの関係を7200rpmのHDDと5400rpmのHDDの例で速い順にすると次のような感じになります。

1.内蔵7200rpm + 外付け7200rpm
2.内蔵7200rpm + 外付け5400rpm
3.内蔵5400rpm + 外付け7200rpm
4.内蔵5400rpm + 外付け5400rpm

3と4の差は微々たるもので、実際にはほとんど体感できないです。ところが2と3では体感できるほど速度に差が出ます。簡単に言うと内蔵ドライブが遅い場合、外付けケースに速いディスクを入れても折角の投資しに対する見返りがない転送速度しか得られません。ですから外付けドライブの性能向上の前にまずはマシンの内蔵ドライブの性能向上を考えましょう。上記はHDDの場合ですが、SSDでも同じです。こちらこちらの転送速度検証結果を比較していただくと、内蔵ドライブが速いものに変わっただけでどのぐらいの違いがあるのかわかりやすいかと思います。

(3)ポートとドライブの関係

(1)や(2)と少し重複しますが、ドライブの性能がポートの実効速度を上回っている場合、性能が活かしきれず転送速度の頭打ちが生じます。例えば現在は500GB以上の容量の7200rpmのディスクは2.5インチでも110 MiB/s以上の転送速度を出す実力がありますが、こういうディスクをFirewire 800ケースに入れても、20 MiB/s以上の無駄が生じますし、SSDなどを入れたらそれこそ宝の持ち腐れです。こちらのページのファイルコピー速度ベスト10を参照していただくとわかりますが、同じSSDを使ってもUSB 3.0接続ののRAIDケースとThunderbolt接続のJBODケースでは転送速度に200〜300 MB/s以上の差があります。USB 3.0接続ののRAIDケースはこの差の分の速度を活用できていないことになります。外付けケース選びは転送速度だけが重要ではないですが、使用目的で転送速度が重要な場合、外付けケースやマシンのポートがドライブの性能を活かせることができるのかをチェックした方が良いでしょう。ただ100パーセントの理論値を出せるケースなどありませんので、ここでもレビューなどを見てどのケースの転送速度が速いのかなど情報集めすることが重要です。

逆にポートの実効速度がドライブの性能を上回っている場合、速いドライブを入れればそれなりの見返りがあるはずです。ここで気をつけたいのは手頃な価格で容量を確保するために普及するであろうeSATA・USB 3.0・Thunderbolt等の速いポートのついたケースと大容量シングルHDDの組み合わせです。自分で安いケースを買って手持ちのHDDを有効活用するというのなら良いですが、速いポートのついた外付けケースに大容量のシングルHDDを最初から入れて外付けドライブとして売っている場合、ポートごとの転送速度などはただの謳い文句です。良心的なメーカーだと実際に出る転送速度を併記してくれるでしょうが、そうでない場合はコンピューター初心者などが知らないで買うと、「速いドライブということで買ったはずなのに騙された」という気がするでしょう。

(4)ポートと利便性

USBは気軽に使えるし安いし便利ですが、USBポートしかないケースをいくつも持っていてこれらを同時に使いたい場合はそれほど便利ではありません。デスクトップマシンみたいにUSBポートがいくつもあればそれらに接続するだけの話ですが、ノートブックみたいにポート数が少ないと、ハブなどを使って接続するしかありません。所有しているドライブが多いとこれがけっこう不便です。簡単に取り外したりしないeSATAでも状況は同じです。FirewireやThunderboltではマシンにポートが一つしかなくても、ケース側にポートが二つ以上あればデイジーチェーンでケース同士や他の周辺機器を繋いでいくことができます。これまでの外付けケースを使ったこのブログの検証ではFirewire 800はテラバイトの2.5インチの外付けドライブ二つ、もしくはテラバイトの2.5インチディスクが2つ入ったRAIDケースまではバスパワーだけでも問題なく使えます。で、ここで気をつけたいのがFirewireやThunderboltポートを一つしか搭載していない外付けケースです。自分で納得して買うなら良いですが、そうでないと折角FirewireやThunderboltポート付きのケースを買ったのに、デイジーチェーンが使えなくてUSBやeSATAケースと利便性が変わらないということになってしまいます。さらにFirewireの場合で気をつけたいのは、2つポートがあっても規格が同じでないと、デイジーチェーンを使った時に転送速度は遅い規格のポートに準じます。たまにFirewire 400ポートと800ポートが一つずつ搭載されたケースを見かけますが、マシンにFirewire 400ポートしかない場合を除いてはおすすめしません。

ボード直付けのeSATAポート搭載のWindowsマシンでのeSATAの速度は目を見張るものがありますが、2.5インチ外付けドライブの利便性と言う観点で考えると、OS起動中には取り外しができないなどの制限があってあまり便利ではありません。Windowsは内蔵のSATAもしくはeSATAポート接続の外付けドライブにしかインストールできないですし、おそらくMicrosoftの考え方としては、eSATAは名前の通り狭い筐体ないに入りきらないドライブのためのSATAの拡張という感じなのだと思います。簡単に言うと筐体外にはみ出した内蔵ドライブという感じですかね。ということで、簡単に外付けドライブの取り外しができる高速ポートはUSB 3.0もしくはExpressCard経由で使うeSATAに限られ、どちらの場合も転送速度がかなり低くなってしまいます。外付けケースを買う時にこの辺の状況と自分の使い方を良く考えて買わないと、後から別の外付けケースを買い足すハメになったりするかもしれません。

(5)外付けケースのスペックとサポートする環境

ここまでは外付けケースを買う時に一番目に付き易い点を見てきましたが、前述しましたようにポートだけ速いのが付いていても必ずしも外付けケースの性能が良いとは限りません。ケースのスペックで留意したいのは内部接続のSATAの規格です。通常の1.0、2.0、3.0の他にローマ数字のI, II, IIIや3G、6G等と呼び名が入り乱れていますが、できるだけ新しい規格のものが好ましいです。ポートとドライブが速くても、古い規格の内部接続だとそこがボトルネックになってしまうからです。これはSSDを外付けケースに入れて使う時にかなり重要な点になります。

外付けケースがバスパワー駆動可能かどうかも重要でしょう。今は殆ど見かけなくなりましたが、以前は一つのUSB 2.0ポートからの給電では動かない外付けケースもありました。またバスパワーで動きそうな外観なのに実際は外部電源が必要なThunderbolt接続ケースなどがあります。こういうのを買ってしまうとノートブックと一緒に気軽に持ち歩くということができなくなってしまいます。

もう一つ気を付けたいのはケースがサポートするOSです。PCでもMacでもUSB 3.0が主流になりつつあるこの時代でも中にはWindowsしかサポートしていないというケースもあります。自分のMacにはUSB 3.0ポートがあるから大丈夫だろうと思って買うと動かなかったということになりかねません(経験者談)。ケースがサポートする環境は大概明記されていますので、必ず見るようにしましょう。サポートされている環境なのに動かないという場合はファームウェアの問題が考えられます。メーカーもしくは販売店のサポートに問い合わせてみましょう。

(6)外付けケースの安定動作・静粛性など

買い物になるとついスペックばかりに目が行ってしまい、実際にどのように動作するのかとかは未確認になってしまい勝ちですが、安定動作しない外付けケースほど役に立たないものはありません。また買ってしまったもののうるさくて使ってられないということなどもありうるでしょう。ただこればかりは実際に使ってみないとわかりません。そこで重要になってくるのがネットにあるユーザーのレビューなどです。外付けケースに限ったことではないですが、ネットでの情報収集は今のこの時代原則です。

上記のことを簡単にまとめてチェック表を作ってみました。買う前にこれだけはチェックしておきましょう。知っていて買うのと知らないで買うのとでは全然違いますから。

外付けケースチェック事項(2012年11月現在)
内部接続 SATA 3.0 (6G、III)対応かどうか?
eSATA eSATAがSATA 3.0 (6G、III)対応かどうか?
USB 3.0 UAS(もしくはUASPモード)対応かどうか?
Thunderbolt、Firewire ポートが二つあるかどうか?二つあったらポートはピン数など同じ規格か?
Thunderbolt ケーブルは付いてくるのか?
バスパワー駆動 バスパワー駆動対応と表示されているかどうか?
OS 自分のマシンで使っているOSがサポートされているかどうか?
RAID ソフトなのかRAIDコントローラーが付いているのか?
ユーザーの評価 ネット検索で見つかるユーザーはどのような評価をしているのか?

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コメント

これは参考になります
素晴らしいまとめですね

こめはちさん、こんにちは。

お褒めのことばをいただいて恐縮です。ありがとうございましたm(_ _)m

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